引越しを機に家庭菜園!初心者でも簡単に育てられるものは?

引越しを機に家庭菜園!初心者でも簡単に育てられるものは?

家庭菜園という言葉、憧れますよね。
「ピザを焼くからお庭のバジルをちょっと摘んできて」なんてセリフを聞くと、
「なんてオシャレなんだろう」と思うのは、私だけではないはず。

確かに自分で作れば野菜は安心だし、いいことずくめな感じもしますが、
なかなか家庭菜園は奥深いものがあります。

庭とベランダで常時30種の野菜、ハーブ、果物を作ってきた筆者が、
初心者でも始めやすい家庭菜園入門の心得について解説します。

まずは環境を見極めよう

家庭菜園を始めてみたいという時、
最初にやるべきことは何でしょう?

ホームセンターで野菜の苗や種を買ってくる?
いえいえ、それはもっとずっと後の話。

最初にすべきなのは、
あなたが野菜を作れる環境にいるかどうか確かめることです。

庭かベランダか

まず、大前提として、
家庭菜園は庭がなければいけないというものではありません。

ベランダしかない集合住宅でも、
創意工夫で立派な野菜や果物はできます。

それよりも重要なのが、日照です。
どんな植物も日照がゼロでは育ちません。

一番いいのは、もちろん日照を遮るものがない庭です。

屋上スペースが使える場合、こちらも日照は問題ありませんが、
そもそも重い土を入れたプランターをいくつも並べるほど強度があるのか、
防水性はどうかなど、耐久性を先に調べねばなりません。

ベランダの場合は東西南北どちらを向いているか、
日照は何時から何時まであるのか、
排水口はあるのかないのかが重要です。

ベストなのは、午前中の日差しが当たる東~南向きで、
自分のベランダに排水口があるタイプです。

排水口がお隣のベランダにしかない場合は、
汚水が隣に流入することになるので、
こまめな掃き掃除をして、水が流れないよう鉢受け皿を敷いて、
迷惑がかからないようにしなければいけません。

土の質は?

ベランダ菜園の場合は土も買ってくることになるので、
最初は「培養土」や、「野菜の土」など、
はじめからブレンドされている土を使えば問題ないでしょう。

この先もしあなたがベランダ菜園にはまったら、
いやでも土作りの楽しさに目覚めます。

問題は一戸建ての庭の場合です。
中には花壇スペースを仕切って耕したら、
そのまま植物が育てられるような良好な土もありますが、
粘土質だったり、あるいは新築だったら資材のゴミが紛れていたり、
酸度が極端に高かったり低かったりして、
そのまま家庭菜園にはできない状態の場合もあります。

プロの畑の土はふかふかとしていて、触ってみると温かい感触がしますが、
一方で何も植物が生えていなかった土は触ると固く、冷たい感じがします。

土壌改善はまず耕せ

固く冷たい土を、植物が育つ家庭菜園に使える土にするには、まず耕すことです。
耕すことによって土の間に空気が入り、
保水性と排水性を兼ね備えたいい土になります。

また、土の間に隙間ができることによって、
肥料を長く留めることもできるようになり、
植物の健康な成長には欠かせない微生物も住み着いてくれます。

長い間、踏み固められていたようなガチガチの土を耕すのは重労働ですが、
できるだけ深く、30センチは掘りたいところです。

菜園スペースにしようとする面積が広く、体力に自信がないという方は、
今はカセットコンロのボンベで動くような、小型耕運機も発売されていますので、
利用を考えてみてもいいかもしれません。
お財布には余裕がある人になりますが。

ただし、固くしまった土で使う時は結構な力で押さえつけるので、
いずれにせよ体力は使います。

ひどい粘土質なら

土の粒子が細かく、耕しても耕してもすぐに固まってしまう粘土質の土は、
基本的に野菜作りには向きません。

そこで、耕す時に、牛糞堆肥や腐葉土、川砂などを混ぜ込みます。
正直に言えば、表面の土を全部取り替えない限り、土壌改良に近道はありません。

長い時間と手間暇をかけて初めていい土になるので、
少なくとも最初の1年はあまり出来栄えに期待せず何かを育てていると、
翌年にはかなりいい土になっているでしょう。

年間計画をたてよう

土が植物を植えられる状態になったら、
何を作るか決めましょう。

一年中何かしら作ることはできますが、
基本的に厳冬期と真夏は植物も体力がなくなっているので、
この時期の種まきや植え付けは避け、春まきと秋まき、
1年を2つのシーズンに分けて計画します。

この時が収穫の時期と並んで、
家庭菜園で最もワクワク楽しい時です。

初心者におすすめの春植え植物

春先に植えて夏に収穫すると言えば、
ナスやトマト、キュウリなど夏野菜が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

太陽の光をたっぷりと浴びたトマトを、
その場でもいで、かぶりつくなんていう贅沢に憧れると思いますが、
正直、これらの野菜は少しハードルが高いです。

一日中たっぷりの日照が必要ですし、
病気や虫のトラブルも多い時期になるので、
初心者が育てるなら丈夫な接木苗を購入しましょう。

プロの農家は「苗半作」と言います。
これは、丈夫な苗を作ることができれば、
半分成功したようなものだという意味で、
いかに苗を上手に育てるかがその後のカギを握っています。

初心者には、理想的な苗を作るのはまず無理なので、
ここは素直にホームセンターや園芸店で買ってきましょう。

その際、接木苗であることを確認し、
あまり伸びすぎていないもの、
茎が太くがっしりしていて葉と葉の間隔が詰まっているものを選びます。

ミニトマトやシシトウは、初心者でも育てやすいですよ。
また、オクラも病害虫に強く育てやすいですが、
たっぷりの日照がないと花が咲かず、
収穫まではいきつかないかもしれません。

地球温暖化対策の一助として人気の、
グリーンカーテンにするなら、やっぱりゴーヤがおすすめです。

初心者が種から育てても、日照とたっぷりの水があれば、
庭に植えれば二階に届くまでになります。
また虫が少ないのも嬉しいところですね。

秋植えは葉物で

暑い夏が一段落したら、秋に蒔いて冬から春まで収穫できる、
葉物野菜の季節になります。

この時期は虫も少なくなるので、
寒くなるにつれてどんどん葉っぱは栄養を蓄えて甘く、
おいしくなる葉物野菜を楽しむことができます。

小松菜、コリアンダー、レタス類、ハタケナ、からし菜、春菊などなど、
冬においしくなる葉物野菜は本当にたくさんあります。

いくつかの種を買ってきて混ぜて、大きな鉢にバラバラと蒔いておくと、
色々な形の芽が出てきて、それがどんどん野菜に育っていく様子は、
まるでプランターの中でベビーリーフサラダを作っているようで、楽しいものです。

3週間くらいずつずらして種まきをしておけば、
いつもおいしく新鮮な葉物野菜が一冬楽しめるでしょう。

失敗しても泣かない

家庭菜園を始めてみると、ほぼ100%の人が、
「こんなはずじゃなかった」と思う事態に直面すると思います。

きちんと土も作り、水もやっていたのに、
せっかく出た新芽が溶けるように消えてしまったり、
ネキリムシや鳥にすっぱり切られてしまったり、
病気が蔓延してあっという間に全滅したり、
一晩で信じられないくらいたくさんの虫がついていたり……

家庭菜園は自然が相手なのですから、
想定外のことはいくらでも起こります。

でも、だからこそ、おもしろくてやめられないのです。
お子さんと一緒に育てれば、風や太陽や水、
自然が私たちの生活にどんな影響を与えるのか、
台風や梅雨がどんなに大変か、
身を持って実感する絶好の機会になるのではないでしょうか。

失敗もあります。
でも、失敗してもそこでめげずに、
「はい、また来年頑張ろう」という、
粘り強さや諦めない心を教えることもできます。

家庭菜園はいろいろな面で人を成長させてくれると思います。
気になっている方は、この記事を参考に、
家庭菜園を始めてみてはいかがでしょうか。